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●「哲学図鑑」大城信也[著]、小川仁志[監修] [読書レポート]

現代人の悩みをすっきり解消する 哲学図鑑 恋愛ビジネスから人生観まで役立つ」大城信也[著]、小川仁志[監修]古今34名の哲学者とその思想をとりまとめ




読了日:2014.2.11
分 類:一般書
ページ:159P
価 格:1500円
発行日:2013年9月発行
出版社:誠文堂新光社
評 定:★★★★


●作品データ●
---------------
テーマ : 哲学者とその思想
語り口 : 教科書調
ジャンル: 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 簡潔
イラスト: camiyama emi
装丁・デザイン: 宇都宮 三鈴
---------------

【100字紹介】
ピュタゴラス、ソクラテスから現在も存命のユルゲン・ハーバーマスまで、
34人の哲学者を年代順に並べ、人物紹介&似顔絵1P
+簡潔にまとめられた思想2P+まとめ1Pの各4P構成で
次々と紹介する、哲学の図鑑。



哲学、何となく好きです。
簡単そうな哲学紹介本があると、思わず手に取るくらいには。

というわけで、図書館で見かけて
「お」と思わず手に取りました。


読後の感想としては、「よくまとまった本」ですね。
上述の100字紹介の通りの構成なのですが、
本文は1人あたり、僅か2ページなわけです。
しかも、そのうちの3分の1くらいは、
その人物や思想などを導入する部分。
実際の本人の思想は残り3分の2。
でも、この導入部分が上手い。
これのお蔭で、すーっと、
しかも興味を惹かれたままで入っていけるのです。
読みやすいですね。
思想部分も簡潔によくまとまっていると思います。
まあ…ここまで簡潔だと、ちょっと不安になりますけれど。
あれ、こんな感じでいいの?まだ言ってないこと、
当然いっぱいあるよね?とも思いますし。
その意味で、この本は導入本、なのですね。
ここでその人物や思想、またはその時代に興味を持ち、
次のステップとなる本を探しに行くための。

人物は年代順に配置されており、哲学の流れもほんのりと分かります。
確かに、図鑑的に、他の哲学の本を読むときに
「あれ、あの人はどうだっけ?」と手に取りたいかも。

導入であり、また戻ってきて確認の出来る本。
簡易にすぎると言われるかもしれませんが、
分野外の人にとっては、面白いと思います。

それにしても、実に色々なことを考える人がいたものですね。
人類は、何百年にも渡って、こつこつと、
思想を積み重ねていったのだなーと思います。
いや、人類の一部が?
それを今、こんな簡単にぱらぱらっと読ませて頂いて、
ありがたいやら申し訳ないやら。
人生を考える一助にしたいと思います、はい。


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文章・展開 :★★★★
簡 潔 性 :★★★★
学 術 性 :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★★
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●「レンタルマギカ 最後の魔法使いたち」三田 誠 [読書レポート]

「レンタルマギカ 最後の魔法使いたち」三田
大魔術決闘もついに決着し大団円へ…完結編


レンタルマギカ  最後の魔法使いたち (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ 最後の魔法使いたち (角川スニーカー文庫)



読了日:2014.02.09
分 類:ライトノベル
ページ:422P
価 格:629円
発行日:2012年8月発行
出版社:角川書店(スニーカー文庫)
評 定:★★★


●作品データ●
----------------------------
主人公:伊庭いつきほか
語り口:3人称
ジャンル:ライトノベル
対 象:ヤングアダルト向け
雰囲気:オカルト
結 末:大団円
イラスト:pako
デザイン:中デザイン事務所
---------------------------

【100字紹介】
<螺旋なる蛇>と<協会>の切り札同士の激突。
世界の認識を創り変える惑星魔術の発動。
第三団たちの強大な魔力のせめぎあい。
そんな中、いつきは、司は、アディリシアは、穂波は、フィンは…!
シリーズ本編最終巻。



オカルト系ライトノベル作品の第22巻。
本編最終巻とのこと。

引き続き、2大組織と<アストラル>の三つ巴戦、
真っ只中からのスタート。
で、何だかんだあって、何とか終わります。
…すみません、まとめすぎました。
いや、でも何というか…、
結構分厚くて、色々動きもあったと思うのですが…、
間が長いというか、全体的にテンポはあまりよくないかも。
いや、でもそういうちょっとだけ「もったいぶった感じ」が、
神秘的な雰囲気を醸し出している…のかも。

それにしても結末に驚き。
いえ、全体としては何の問題もないのですが、
表紙でいつきが手をつないでいる相手が、
確定しちゃうとは思いませんでした。
いや、していないのかもしれませんが、
していますよね?これは。していますよね?
本人にどれくらいの自覚があるかは知りませんが。


まだこのあとに、短編集が出るようです。
そこまで読んだら、このシリーズともお別れですね。
最初はアニメで知ったこの作品ですが、
そのあともなかなか長い道のりでした。もう一息。


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文章・描写 :★★
展開・結末 :★★★
キャラクタ :★★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…伊庭 司

「僕たちの世界は、いつだって僕らが考えるよりほんの少しだけ
 不思議が多いって、そう思ってます」     (伊庭 いつき)

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●「篁破幻草子 めぐる時、夢幻の如く」結城 光流 [読書レポート]

篁破幻草子 めぐる時、夢幻の如く」結城 光流
小野篁&橘融のオカルトファンタジー最終巻




読了日:2014.02.08
分 類:ライトノベル
ページ:286P
価 格:514円
発行日:2007年6月発行
出版社:角川ビーンズ文庫
評 定:★★


●作品データ●
----------------------------
主人公 : 小野 篁(橘 融)
語り口 : 3人称
ジャンル: ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 歴史オカルト
結 末 : 解決、完結
イラスト: 四位広猫
デザイン: BELL'S
---------------------------

【100字紹介】
ときは平安のはじめ。人の身でありつつ夜は冥府の官吏として、
都にはびこる鬼を狩る小野篁。彼の持つ凶星・破軍の魂は不完全であり、
そのために悪鬼・朱焔に執拗に狙われ、
ついに闇に堕ちることに…!シリーズ完結編



シリーズ第5巻、最終巻です。

ごくごく久し振りに読みました。
4巻を読んだのが2008年の夏です。実に5年半振り。
当然ながら…覚えてません!(>_<)
が、無謀にもそのまま読み進めました。

結果。

話が分からない…。
ひたすら置いてけぼり…。
そして置いてけぼりにされながら、
最後まで読むことになってしまいました。

初っ端から楓が多分、死んでいて(?)、
篁は闇に堕ちかけていて、生まれ変わる前だか、
過去の宿命が出てきて、主人公がぐるぐるしている間に、
周りでは色々悲劇と惨劇がおきまくり、
過去の思い出も次々飛び出し…、という感じ。

結論から言えば、置いてけぼりで
感情移入ゼロのまま読み進めるという、
その読み方が悪かったのか、どうも微妙でした。
何だか一昔前の少女マンガみたいです。
悲劇の大バーゲンセール
内容としては結構シビアで、どんどん犠牲が積み重なっていく、
絶望的なエピソードなのに、お芝居がかっているというか、妙に遠いというか。
でもすみません、きっと感情移入できなかった、
覚めた目の読者が悪いです(>_<)。

なお、巻末には「橘少将、鬼の「腕」と闘うの事」と
「終わりなき、それは」の短編2編が収録されています。
「終わりなき~」は、昌浩&もっくんも出張出演です。


しかしこれだけのことがありつつ、
最終的に主人公だけが取り残されるのは切ないですね。
他の北斗の人たちの魂は一体、どこへ…?


---------------------------------
文章・描写 :★★
展開・結末 :★★
キャラクタ :★★★
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…橘 融

「俺くらい知っていてやらないと、働き損だよなぁ」(橘 融)
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●「子どもに「ホームレス」をどう伝えるか」生田武志、北村年子 [読書レポート]

子どもに「ホームレス」をどう伝えるか いじめ・襲撃をなくすために」藤田和男監修ホームレス襲撃事件といじめには繋がりが…


子どもに「ホームレス」をどう伝えるか

子どもに「ホームレス」をどう伝えるか



読了日:2014.1.20
分 類:一般書
ページ:213P
価 格:1200円
発行日:2013年7月発行
出版社:太郎次郎社エディタス
評 定:★★


●作品データ●
---------------
テーマ :ホームレス襲撃・いじめ問題の初等教育
語り口 :講演(口述)
ジャンル:一般書
対 象 :初等教育者向け
雰囲気 :比較的、一面的
装丁・本文デザイン :箕浦 卓
挿絵・漫画 :ありむら潜
---------------

【100字紹介】
現状をどのように子どもに教育し、
蔑視からくる子どもによるホームレス襲撃を止めるか。
ホームレス襲撃の心理に潜む「いじめ」についても考察。
思い込みからの差別や不安や不満が、弱いものへ噴出する現状を考える。



「ホームレス問題」に興味をひかれて、この本を手に取りました。
しかし、看板に偽りなし。タイトル通りです。
「ホームレス」問題に取り組んだり、解決策を考えたりは一切せず、
「現状をどのように子どもに教育し、蔑視からくる子どもによる
ホームレス襲撃を止めるか」に集中する本でした。
勝手に、ホームレス問題を考えるのかな、と思って読み始めたので、
拍子抜けしてしまったのですが、もう一度タイトルを見て、
勝手に誤解したのは自分だ、と反省した次第。


本書は大きく分けて、4パートから成っています。
1つ目は「高校生へ」という講演。
2つ目は「教職員へ」という講演。
3つ目は「中学生へ」という講演。
これに、ホームレス問題の授業づくりのための資料がくっついて4パート。

基本的にはどれも同じようなもの。
特に2つめと3つめは同じ人の講演なので、
語り方が異なるだけで、内容は重複という感じ。
どちらかというと、前半の生田氏は「構造」などの社会的な話、
後半の北村氏は個人の情緒的・心理的な話でした。

ホームレスは自ら望んでなるものではなく、やむにやまれぬ事情…、
しかも個人的ではなく、社会構造的な問題によりはじき出された人たちが、
段階を踏んで落ち込んでいくもの。また、一度落ちると、
階段の高さがあまりにも高いため、戻るのは困難であること。
皆がタブー視し、実情を知ることなく思い込みによる蔑視により
避けるような行動をとるために子どもにも蔑視が刷り込まれ、
「ホームレス襲撃」が絶えないこと。
また、「頑張らない人々の駆除」というような言い分で、
思い込みからの差別により、犯人はホームレスの人権を認めず、
重大な結果を引き起こしても反省が見られない場合も多いこと。
普段の生活で不安・不満を抱えた「心のホームレス」の暴走が、
いじめやホームレス襲撃に繋がっていること。
無関心こそが最大の暴力。
後半にいくほど、ホームレス問題は無関係になり、いじめ問題の話へ。


全体に、「なるほど」という点は多かったです。
ただ、特に後半は押し付けがましさが気になりました。
非常に見方が一面的で、ここで出てくる授業は「誘導」以外の何者でもない、
というのが、非常に居心地が悪いのです。
ホームレスだって、良い人も悪い人もいることでしょう。
ただ、授業開始前の時点ですでに、
見方が一方的になっている事案に対する教育というのは
こういうものかもしれません。
悪い方一点張りを、ショック療法でも何でも、打破しないといけないわけで。

しかし、もう少しホームレス問題自体にも踏み込んで貰いたかった、
というのが正直なところ。まあ、そこまではこの厚さでは難しいでしょうか。


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文章・展開 :★★
簡 潔 性 :★★★
学 術 性 :★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★
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●「No. 6 #4」あさのあつこ [読書レポート]

「No. 6 #4」あさのあつこ
矯正施設へ潜入する計画を実行開始する紫苑


NO.6[ナンバーシックス]#4 (講談社文庫)

NO.6[ナンバーシックス]#4 (講談社文庫)


読了日:2014.1.12
分 類:中編
ページ:212P
価 格:476円
発行日:2005年8月講談社、2008年8月発行
出版社:講談社(講談社文庫)
評 定:★★★★


●作品データ●
----------------------------
主人公 : 紫苑
語り口 : 3人称
ジャンル: 近未来SFライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 起承転結の「承」
結 末 : 次巻に続く
カバーデザイン: 岩郷重力+WONDER WORKZ。
デザイン : 菊地 信義
---------------------------

【100字紹介】
拉致された幼馴染の沙布を助けるため、
矯正施設への潜入計画を実行に移す紫苑。
ネズミたちの協力を得て、No.6の高官から情報を入手し、
「人狩り」に乗じての潜入。
それはとてつもなく暗く、苦しい試練の始まり…



近未来SF第4巻。話はゆっくりじっくり進みます。
矯正施設に連れ去られた幼馴染の沙布を助けるため、
施設内部の状況の情報収集をする紫苑・ネズミ・イヌカシ・力河。
序盤は、No.6高官の富良の尋問に、全体の3分の1以上費やし、
真っ直ぐで、ちょっと甘くて、でもひたむきな紫苑が、
葛藤しつつも、その性質を活かしたままどう頑張ったかが描かれます。
中盤、紫苑とネズミの会話と、突然のネズミの不調、
そして回復と…紫苑の底の見えなさを感じたネズミは紫苑を
「得体が知れない」と戦慄するのです。
一方で、No.6内部でのトップたちの様子と紫苑の母・火藍の周りの様子から、
話は着々と進んでいるのがわかります。
そしてついに始まる「人狩り」。
市場での惨劇と、絶望の護送。
確かに矯正施設に入ることはできましたが、これは一体どうなる!?
…というところまで。


作家さんは怖いです。
ついにやってきた「人狩り」、
こんな恐ろしい状況を淡々と描いてくれるとは。
しかし、この紫苑がまた凄い。
びっくりするくらいの成長です。
目の前の人の運命が分かっていても、
飛び出さない、叫ばない、じっと気持ちを押し殺しつつ、
冷静に計画を遂行していく紫苑。
相変わらずひたむきさ、まっすぐさはそのままなのに、
単なる直情型の「少年誌的主人公キャラ」ではない、
というのをどんどん鮮明にしていってくれます。
何しろネズミですら「得体が知れない」と思うことがあるくらいですし。

そのネズミの方だって、まったく得体は知れていないのですが。
突然、倒れて紫苑のまた別の面を引き出してくれたネズミですが、
倒れたときの状況は謎だらけ。
草原、風、無数の昆虫の翅の唸り、流れてくる歌。
懐かしい声…ネズミの過去に密接に関わっているであろう幻影として、
読者に提示されたわけですが…今巻では提示のみ。
引っ張ってくれます。気になりますね。


ストーリー自体はそれほど大きく動いていないのですが、
それぞれのキャラの心の中の変化は激動、なのかもしれません。

それにしても続きが…気になります。
いや、アニメを見ていたので、ストーリーは知っていますけれどもね!
それでも是非、この著者の文章で、描き方で、読んでみたいと思うのです。
ネタバレしていても、価値が下がらない作家さんだと思います。


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★★
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…ネズミ

ネズミ、ぼくは人間でありたい。
ネズミがふっと息を吐いた。
「正気を保て。できるな」
「だいじょうぶだ」
「だよな…あんたならだいじょうぶだろう。余計なことを言った」
                   (地の文、ネズミ、紫苑)

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●「若き検死官の肖像」椹野 道流 [読書レポート]

「若き検死官の肖像」椹野 道流
殺人事件の供述は、まさかの被害者から!?


若き検死官の肖像 (f-Clan文庫)

若き検死官の肖像 (f-Clan文庫)



読了日:2014.1.4
分 類:ラノベ
ページ:295P
価 格:590円
発行日:2012年2月発行
出版社:f-Clan文庫(三笠書房)
評 定:★★★★


●作品データ●
----------------------------
主人公 : サイラス・クレイトン
語り口 : 3人称
ジャンル: ライトノベル
対 象 : 一般向け
雰囲気 : オカルト・ファンタジー
結 末 : 解決
イラストレーション: みやもと
デザイン : SAYAKA HASHIMOTO
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【100字紹介】
晴れて検死官となり、アングレ第二の都市から自治区へ赴任したサイラス。
そこは事件の詮議も弔いもすべてネクロマンサーに託される土地だった…。
サイラスは死人が語る嘘を暴き、検死官の職を認めさせられるのか…?



英国風ミステリアスストーリーの「貴族探偵」シリーズと同じく
「アングレ」を舞台とするファンタジー。
著者の持ち技であるところの、「監察医(検死官)」
「ネクロマンサー」「ミステリ風ファンタジー」の合わせ技です。

アングレ第二の都市である北部の工業都市・ホルシャムに生まれ、
ホルシャムで育った検死官助手、27歳のサイラスが、
検死官に昇格して併合地であるギルドフォード自治区という
片田舎へ修業に出されるところからお話は始まります。
ギルドフォードは独自の風習を保っている土地。
検死などは必要がないという凄いところです。
別に殺人事件がないわけではないのです。
でも、お弔いにはネクロマンサーが出てきて、
「死者の最後の言葉」を語らせてしまう土地柄ですから、
殺人事件の被害者だって、被害者自身が起き上がって
犯人を証言してしまうという、ぶっ飛び設定です。

邪険にされるも、自分の仕事を認めさせようと奮闘する、
直情型で、一本気、得意技は空回りのサイラス。
そんなサイラスをふわっと取り込んでくれた、
先代検死官とも親しかったという薬師のエイステン。
浮世離れしていて、尊大な話し方をするものの、
根はとても可愛らしいところのあるネクロマンサーのヴィンセント。
それぞれが意外にワガママで、、この話をまとめることより
各人の個性を優先してしまうあたりが素敵。
ストーリーのために彼らキャラクターが存在するのではなく、
彼らが動くからストーリーが出来ていく、という基本的なところは
ばっちりおさえられています。さすがにベテラン。
そしてそれぞれに「いや、そんな堂々と、理不尽な!」という
突っ込みどころもあったりするのです。
超人がいないからこその人物描写のリアリティでしょうか。


ラストはうまくまとまっちゃったなあという気はしますが、
ライトノベルですからね、良いのではないでしょうか。


それにしても、随所に登場するお料理描写が相変わらず素敵です。
「にゃんこ亭」の新刊はいつ出るのでしょうか…!


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★★
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★★
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菜の花の一押しキャラ…ヴィンセント・シェイファー

「あなたときたら。いい年をして、公明正大で正しいことならば、
 何をしても何を言ってもよいと思っていらっしゃるのですか?」
               (エイステン・ホーンスリュード)

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●「殺戮にいたる病」我孫子 武丸 [読書レポート]

「殺戮にいたる病」我孫子 武丸
ミステリファンは必読、叙述トリックの傑作


殺戮にいたる病 (講談社文庫)

殺戮にいたる病 (講談社文庫)



読了日:2014.1.4
分 類:長編
ページ:324P
価 格:524円
発行日:1992年9月、講談社、1994年8月、講談社ノベルス、1996年11月発行
出版社:講談社文庫
評 定:★★★


●作品データ●
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主人公 : 蒲生 稔、蒲生 雅子、樋口 武雄
語り口 : 3人称
ジャンル: ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : エロ&グロ
結 末 : 解決
カバーデザイン : 辰巳 四郎
デザイン : 菊地 信義
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【100字紹介】
「真実の愛」を求めた男は、サイコキラーとして
東京の繁華街で次々と若い女性を狙った猟奇殺人事件を引き起こす。
犯人、犯人の家族、そして被害者の知人で定年した元刑事の3人の視点で追う、
事件の先にあるものは…



叙述トリックの最高峰、的な、ミステリ作家のオススメ書評を見て、
いつか読もうと思っていた1冊でした。
そして結論から言えば、間違いない傑作。


東京の繁華街で次々と起こる、若い女性を狙った猟奇的殺人事件。
死んだ女性に「真実の愛」を感じるサイコキラー・蒲生稔の軌跡を辿りつつ、
蒲生稔に加えて蒲生の家族・蒲生雅子、
被害者と親しかった引退した元刑事・樋口という3つの視点から、
時間を追って語られる事件の経過で構成されています。

内容は、エロティック&グロテスクです。
犯人の蒲生稔の行動も、そして考え方も。
「真実の愛」のため、次々と女性をホテルに誘って絞殺、
遺体を愛撫した後に損壊して一部持ち帰る…、
もう、何か色々ダメです。
歴代ミステリの犯人の中でも、トップクラスにどうしようもないキャラです。
まあ殺した時点でもちろん、アウトですが。
自分の息子が犯人なのではないか、と葛藤し、
そして隠蔽を考えている蒲生雅子の方も人としてダメダメです。
でも、その心理の描写が巧みなので、ひどくリアリティはあります。
それがよりグロテスクに感じてしまいます。

そして、特筆すべきラスト。
確かにミステリとしては一流です。
沢山の人が途中、端々で違和感を覚えつつも綺麗に騙され、
世界をひっくり返す最後の台詞に驚愕し、
そしてすとんと納得したことでしょう。
何が凄いって、たぶん多くのミステリファンに、
読み返させることもなく「そうだったのか…」と
納得させてしまうであろうところです。
もちろん、もう1周、読みたくなるのは間違いなさそうですが。

でも描写が苦手かも…。
事件の性質上、仕方ないですね。
しかし、これをもっと別の事件に置き換えられるか?と
ちょっと考えてみたのですが、難しそうです。
こういう事情で、こういう事件だからこそ、こういう作品になった。
そういう必然的なものを感じました。
それに、異常殺人者の描写も秀逸だと思います。
著者自身、ひとりやふたりは殺っちゃってるんじゃないの?くらいに。
蒲生雅子の心理描写については上述していますが、
他のキャラも個々に、様々な思惑を上手く描いています。
完全な善人は見当たらず、皆、生身の人間らしさを持っているのです。

その意味では、ネタバレしたからといって、
この作品の凄さが消えてなくなるということはないでしょう。
まあ、綺麗な巴投げが決まったー!的な最初の一読の気分は
難しいとは思いますけれども。


というわけで、本作は万人にはオススメできませんが、
それでもミステリファンなら、おさえてはおきたいところです。


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★★★
キャラクタ :★★★★★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★
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菜の花の一押しキャラ…特になし

「え?…ああ。そう、そうです」(蒲生 稔)

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●「メグとセロンVII」時雨沢 恵一 [読書レポート]

「メグとセロンVII 婚約者は突然に」時雨沢 恵一
「リリアとトレイズ」スピンオフ作品最終巻


メグとセロンVII 婚約者は突然に (電撃文庫)

メグとセロンVII 婚約者は突然に (電撃文庫)



読了日:2013.12.28
分 類:ライトノベル
ページ:363P
価 格:590円
発行日:2012年5月発行
出版社:メディアワークス電撃文庫
評 定:★★★+


●作品データ●
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主人公 : セロン・マクスウェル
語り口 : 3人称
ジャンル : 異世界ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 学園もの
結 末 : Happy End
イラスト : 黒星 紅白
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【100字紹介】
クールなセロン、天然系のメグ、熱血漢少年ラリー、
さばけたナタリア、美形長髪青年ニック、ジャジャ馬部長ジェニーの新聞部。
留学生の「新人君」が放り込んだ爆弾により、
セロンとメグの関係が揺れに揺れる最終巻。



「リリアとトレイズ」シリーズのスピンオフ作品第7巻。
セロンとメグの関係やいかに、の最終巻です。

前巻ラストで、「新人君」が放り込んでくれた爆弾が、見事に炸裂。
その上、「天然」で、しかも人とはずいぶん違う「常識」を持っているメグが、
盛大にやらかしてくれたお蔭で、恐ろしいまでの泥沼状態へ突入。
いいの、セロン?本当にこんな子でいいの…!?

明るい新聞部のいつものやりとりが、何とか救いを見せていますが、
とにかく修羅場です。思い切り修羅場です。
やってきた「依頼」も、完全なる修羅場です。
お互いに婚約者の瑕疵の証拠を押さえて、婚約破棄をしたい先輩2人。
ドレスのアーミテイジ」の娘・ブリジット・アーミテイジを、
老舗宝石商「オースティン&アマビスカ」の息子・ケネス・エインズワース。
どちらかが嘘をついているのか、それともどちらも正しいのか。
新聞部は尾行に盗聴録音と大活躍です。


最後はまさかの急転直下。
婚約者は突然に。まさにタイトル通りでした。


それにしてもメグは、まだ学生で若いから許されるけれど、
もしも20代後半以上だったら…、、、とてつもなく重い人ですよね…。
うーん、年齢って大事だな、と別のところで感心した次第。


しかし、ついにこのシリーズも完結。
「アリソン」「リリアとトレイズ」ときて、「メグとセロン」。
同じ世界で繰り広げられた、性格の違う3つのお話。
これらに出てきたキャラたちが一堂に会する、
大団円な次回作が構想されているらしいです。
たのしみですねー。
そしてタイトルがどうなるか…たのしみですね。
何しろ仮題が
「アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロン」
ですからね…!これがどこまで短くシンプルになるか…本当にたのしみです。


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★★
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菜の花の一押しキャラ…ラリー・ヘップバーン

「おい、ラリー」
「なんだよ?ナータ」
「あの地獄の夜のように暗いイケメン生物をなんとかしろ。お前の親友だろ?」
             (ナタリア・スタインベック、ラリー・ヘプバーン)


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●「トコトンやさしい天然ガスの本」藤田和男監修 [読書レポート]

「トコトンやさしい天然ガスの本 今日からモノ知りシリーズ」藤田和男監修
天然ガスとは、何か?その生産から消費まで


トコトンやさしい天然ガスの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい天然ガスの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)



読了日:2013.12.17
分 類:一般書
ページ:157P
価 格:1400円
発行日:2013年9月発行
出版社:日刊工業新聞社(B&Tブックス)
評 定:★★


●作品データ●
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テーマ : 天然ガス
語り口 : 教科書調
ジャンル: 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : イラストはポップ系
表紙イラスト: 黒崎 玄
本文イラスト: 輪島 正裕
ブックデザイン: 奥田 陽子
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【100字紹介】
天然ガスは一体どんなもの?探鉱・評価・開発・生産、輸送・貯蔵、
様々な応用技術を駆使した利用や、その価格とリスクまで。
環境に優しく、埋蔵量もそれなりにある天然ガスについて、
これからのことも含め幅広く解説



「今日からモノ知りシリーズ」の「トコトンやさしい○○の本」のひとつ。
前回読了の「水道」からは1年以上おいての、久々のこのシリーズです。
本書もシリーズ中で共通するページ構成の、見開き2ページで1単位。
右側ページが2段組の本文と、下段に「要点BOX」、左側ページが関連図解。

対象は天然ガス。天然ガスとは何かから始まり、
上述の紹介に書いたようなことをざくざくといきます。


このシリーズは当たり外れが大きいのですが…、
本書はどちらかというとハズレかな、というのが正直な感想。
タイトルは「トコトンやさしい」なのですが、
そんなにやさしくない…かも。
この内容は、非常に説明が難しいのはよく分かります。
でも用語の羅列で説明されると困ってしまいます。
分からない言葉を、聞いたことのない単語で言い換えられても…。
複数人で書かれているので、中には分かりやすい項目もあるのですが。
「要点BOX」の内容が、本文に出てきていないものだったときは
さすがにちょっとショックでした…。
しかし、編集著作物にしては、大きな重複はあまりなく、
監修者の凄さを感じました。構成とすり合わせが上手いのですね。


全体から、天然ガスのシルエットは朧ながら理解できましたし、興味は惹かれました。
まあ天然ガス初心者としてはそれで十分…でしょうか。


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文章・展開 :★★
簡 潔 性 :★★
学 術 性 :★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★
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●「No. 6 #3」あさのあつこ [読書レポート]

「No. 6 #3」あさのあつこ
生き抜くにも愛するにも、必要なのは覚悟…


NO.6 [ナンバーシックス] ♯3 (講談社文庫)

NO.6 [ナンバーシックス] ♯3 (講談社文庫)



読了日:2013.12.14
分 類:中編
ページ:211P
価 格:476円
発行日:2004年10月講談社、2007年8月発行
出版社:講談社(講談社文庫)
評 定:★★★★


●作品データ●
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主人公 : 紫苑
語り口 : 3人称
ジャンル: 近未来SFライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 起承転結の「承」
結 末 : 次巻に続く
カバーデザイン: 岩郷重力+WONDER WORKZ。
デザイン : 菊地 信義
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【100字紹介】
西ブロックで日々営まれる生活で、残酷なまでの現実と向き合うことになった紫苑。
一方で人工の理想都市<No.6>で異変が。
深く関わりあうほどに重くなる枷を感じつつ、
ネズミは助けを求めるメモを前に決断をする



近未来SF第3巻。捨てられた「西ブロック」での日々は、
更なる残酷な現実を紫苑に突きつけます。
食べるために、生きて抜くためにしなくてはならないこと。
悩みながら、それでも芯にあるまっすぐでひたむきな部分は
決して変化させることのない紫苑。
その姿に、むしろネズミやイヌカシたちも影響を受けることに。
No.6の内部では、母・火藍の葛藤と、奇妙な人物との出会いがあり、
沙布の身には切迫した何かが起こっていて…。

前巻が「承」の物語だったので、
今回は「転」がきて一気に展開するのかと思いきや、
着々と準備が調えられていくというか、
牙やツメを隠した猛禽類がじっと獲物を見据えつつ、地面に伏せているような…、
2巻に引き続いて「承」にあたるエピソードでした。
ただし、弓が引き絞られていくような、高まる緊張感がより強いお話。

それにしても、ネズミもイヌカシも、
この歳で滅茶苦茶戦闘能力が高いのですが、
やはり生きるか死ぬかの瀬戸際で生き続けていると、
成長が早まるのでしょうか…。

一方で、温室培養されていた紫苑の方は、
どんな逆境でも、するりと人の懐に飛び込んでしまうという、
必殺の奥義を(無意識に)繰り出し、
気付いたら沙布奪還グループを自分のために結成させてしまうという
恐ろしいまでの人たらし振りを発揮。
でも、ただの「いいやつ」でも「超人」でもなく、
自分でも悩み、迷い、戸惑うところがとても深くて素敵です。
こうやって、完璧ではない人と人がお互いに影響を与え合うことで、
人間関係は成り立っている、というのがよく分かるのです。

そして今回は凄いところで終わりました。
え、ここで!?
週刊連載の少年漫画じゃないんだから!と、
思わず言いたくなった人、多数と見ました、ええ。
これは気になりますよね。
次巻、乞うご期待!です。間違いなく。


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文章・描写 :★★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★★
独 自 性 :★★★★
読 後 感 :★★★★
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菜の花の一押しキャラ…ネズミ

「だけど、ネズミ、ぼくは本当に後悔していない。
 あの夜、自分の感情に背かないでよかったと、本気で思っている」(紫苑)


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