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●「トーマの心臓」萩尾望都 [読書レポート]

「トーマの心臓」萩尾望都
1人の少年の死がもたらす、愛と試練の物語


トーマの心臓 (小学館文庫)

トーマの心臓 (小学館文庫)

  • 作者: 萩尾 望都
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1995/08
  • メディア: 文庫


読了日:2010.2.2
分 類:漫画
ページ:461P
価 格:700円
発行日:1995年5月発行
出版社:小学館文庫
評 定:★★★★★


●作品データ●
----------------------------
主人公:ユリスモール・バイハン
    エーリク・フリューリンク
語り口:特に語り手なし
ジャンル:漫画
対 象:一般向け
雰囲気:宗教教的な色合い
---------------------------

【100字紹介】
冬の終わりの朝、1人の少年が死んだ。
そしてユーリに残された1通の手紙。
「これが僕の愛、これが僕の心臓の音」。
信仰の淵でもがくユーリ、想いを秘めるオスカー
母への盲目の愛に満ちたエーリク。少年達の愛の形



先月、森博嗣のノベライズ版の同名作品を読みましたが、
ついに原作である漫画版を読む機会がやってきました。

基本エピソードは当然、ノベライズ版と同じ…というか、
逆ですね、ノベライズ版の方が同じなのですが、
色々と設定に違いもあり。

全体的に、原作「トーマの心臓」はふわふわとした、
憧れと恋心と友情がいっしょくたになったような少年の愛とか、
親子の切っても切れないような深いつながりとか、
心情的なものを感傷的に、象徴的に、そして映像的に、
…うん、そうですね、「映画のように」見せる感じ。
逆に言うと、ことばにあまり頼っていないというか。
こういう言い方をするとファンが怒りそうなのですが、
印象に残る強いセリフやことばが、本作には殆ど出てきません。
主なエピソードとしてすぐに挙げられるものも少ない。
でも、何らかのイメージと、印象は残っているのです。
下手な語り手なら、印象深い素敵なエピソードを連ね、
そのエピソードのみが作品を強調し、象徴するようなものを作るでしょう。
が、本作は全体が一体となって、ひとつの物語を構成しているのです。

これに対して、ノベライズ版はオスカーに焦点をあて、
キャラは理系で、歳はもう少し上。
このためもやもやとした心情の曖昧を残しつつも、
理知的な思考が全編に渡って発揮されるため、
物語はかなり明快・明瞭でした。
その辺りが原作者である萩尾氏によって、
「澄んだ美しい物語」と評された所以ですね。

何というか、そのどちらが優れている、というわけではない、
というのがよく分かりました。
漫画と小説という、メディアの違いを十分に見越し、活かした結果、
ノベライズはあのような物語になったのだな、と。
さすが、萩尾ファンを標榜する森氏だけあって、
小説になったとき、そして自分の持っている背景知識で
最も綺麗に取りまとまるのは何か?を考え、抽出して再構成したのが、
ノベライズ版だったのだ、と。
…と、後半はちっともこの作品自身の話ではなく、
ノベライズ版の話になってしまいましたが。
なかなか興味深い試みだったと思います。

ちなみに、菜の花の個人的好みでは、
原作である漫画より、ノベライズの方が好きです。
まあ、「?」な部分も多々ありましたけど。
原作によって、それらが補完された気がします。
特にエーリクの事情と心情の動きは、
原作を読んでようやく理解です。
トーマについては漫画でも小説でも、いまいち納得できないままでしたけど。
菜の花の中で彼は、共感できないキャラランキング、堂々1位です。
多分に宗教的な雰囲気を感じるというか。難しいです。


それにしてもこの漫画、登場人物の殆どが男の子なのに、
このキスシーンの多さは何なんですかね!?
何だか倒錯愛だなあ…と思ってしまう菜の花は、
心の狭い人でありましょうか…。それとも、もう若くない?
うーん。。。
オスカーはかっこいいです。という、
普通なセリフも残しておきます。
彼は少女漫画には欠かせない役回りでありましょう!
自分自身も成長しつつ、周りの人物を支え、導き、
そして最後に主人公の背中を押す。
ノベライズ版で、彼が主人公に選ばれたのは納得です。
まあ、あちらでは自身の成長・変化の描写が多くて、
どれくらいうまく、彼が周りを支え、導いたかは不透明ですけれども。

あと、バッカスも最高です。素晴らしいです。
しかし、とても同じギムナジウムの学生には見えません。
幾ら先輩といっても、どうなっているのでありましょうか。
ま、そこは漫画なので。


---------------------------------
文章・描写 :★★★★★
展開・結末 :★★★★★
キャラクタ :★★★★★
独 自 性 :★★★★★
読 後 感 :★★★★★
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菜の花の一押しキャラ…オスカー・ライザー


「そうだよ ぼくのカード ぼくのショーカー
 でも
 ぼくの望んだことは―
 気づいてくれることだったんだ
 きみでも 彼でも
 ぼくが愛してるってことに」
(オスカー・ライザー)


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